2014年7月6日
延岡市にある宮崎県内唯一の薬学部、九州保健福祉大学は薬学教育だけでなく薬剤師教育に非常に力を入れた大学です。薬学部4年制から6年制への移行もその流れを応援しています。また薬学部としては全国に先駆けてフィジカルアセスメント研修を取り入れ、学生だけでなく我々薬剤師にも定期的な研修会を開催していただいています。
そもそもフィジカルアセスメントとは、問診・打診・視診・触診などを通して、実際に患者の身体に触れながら、症状の把握や異常の早期発見を行うことです。「フィジカル(身体的な)」「アセスメント(情報を意図的に収集して判断する)」という意味を持ち、ここ九州保健福祉大では、「実習用患者ロボットを使用した模擬ベッドサイド実習」を導入し、「患者さんのバイタルサインが読める薬剤師能力の開発」にも真剣に取り組んでいます。
朝から晩まで一日みっちりとしごかれますので、気合いをいれて出発!
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とそんな7月6日は早朝5時から大好きなオレンジ軍団オランダが準決勝進出をかけてコスタリカと対戦・・・
7時までに出発しないと行けないのになかなか点が入りません・・・頼むよオランダ!!応援してるよ!!
あ〜っと延長戦突入!! 涙をのんで出発。
高速道路に乗る前にチェックチェック・・・
あ〜っと まだ0−0!! 頼むよオランダ!!応援してるよ!!
大雨の中高速を走らせ高速道路を降りてチェックチェック・・・
よ〜っしゃ〜!!オランダPK戦で勝利!! ファンペルシーかっこいい!!
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だいぶ脱線してしまいました・・・ここからが本題です。
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九保大に到着。
さて、まずは理入(理屈から入る)から。基礎的な知識を座学で学んでから実践に移します。
さすがに行入(行動から入る)では危険ですからね。
まずは、フィジカルアセスメントの第一人者 高村徳人教授のお話から
「医療は技術力です。薬剤師医療の最大のネックは圧倒的な技術不足にあり」と。
フィジカルアセスメントを学ぶことの目的は、技術を学ぶことにとどまらず、目の前の病める患者に対し、治すための技術とそれを向上させるための道具を開発していったプロセスを知ることにある。
つまり、フィジカルアセスメント技術の実践教育は訳述の創出とその術を極めることの必要性を薬学生・薬剤師に芽生えさせる原動力となる。
う〜ん、深い。 最初の講義の段階では理解するのが難しかったこの言葉が段々と体に染み渡ることになります。
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実際の器具を用いて、隣の薬剤師とお互いにバイタルチェック。
普段、看護師さんから受けている血圧測定(聴診法)もこんなに難しいものだったなんて・・・尊敬!
ただ、聴診法と同様に、血管音を検出する方法に加え、腕帯内の振動を検出する方法の併用により、より正確なハイブリッド型血圧測定器も開発され、活用されていたり、
体温計も最近よく見かける予測型体温測定の精度がものすごく上がり、まさにこれが新しい技術の創出だなあ と実感。
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今度はシミュレーターを使って実際に心音などを聴くことに。
彼の名はイチローくん。不整脈や心肥大などの異常音を聴診するのに適したシミュレーターです。
ん? なんだかよくわからないぞ??
ラ音や不整脈など、授業で習った音は判別できるけど、これを実際の臨床で判断していくのは・・・
やはり、医師の仕事は素晴らしいと感じました。
また、聴診器の進歩にも触れ、普遍的なスタイルに落ち着くまでにもたくさんの改良がなされて来たのだ と実感。
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次はスタンくん。ここからは薬物の反応を見ることに。
カリウム製剤の急速静注、インスリン過投与、有機リン系農薬自殺等薬物の誤投与が起きた場合の症状や対処法を学ぶシミュレーターです。
私が病院勤務時代にもよく医療事故でニュースになっていたKCLの注射。
カリウムの急速静注により心電図がどのようになるのかを見ます。
心拍数が一時的に上がるけど、血圧はおちていき・・・
心拍数も落ちて来た! 心臓マッサージを!!
心臓マッサージ。これも正確な位置に適した力で行わないと効果不十分です。ただし、心機能は回復しません。
エピネフリンを投与し、また心臓の機能を取り戻します。
やはり、正しい対処方法を学ぶ上でも非常に大切なモデルです。まさに、「習うより慣れろ」の典型。ここでも技術の向上が役立っています。
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次はフィジコくん。こちらはいろんな病態のモデルを設定できる、非常に優秀なシミュレーター。
現実の位置に近い部分にマイクが仕込まれています。実物もそうですが、ポイントをはずすと何も聞こえないんですよね。
脈拍数を測り、
肺音を聴き取り、
腸音を聴き取り、
心音を聴き取り、
心電図の意味合いを知り、
研修会を受ける前に感じていた、薬剤師だから関係ない。という感覚は取り除かれました。
ですが、これを実際の薬局窓口で行うことは、やはり難しいと感じたのも確かです。 それは、圧倒的な実地練習が不足しているからです。
やはり、医師、看護師は診断や全身状態の把握のためにくまなく検査することが求められます。今回の研修会を受けてもやはり正常異常の判別以上にこれを活かすことは難しいと感じました。
しかし、薬剤師の仕事はあくまでも薬物療法の適正化が目的なので、薬理学や薬物動態学などをきちんと理解したうえで、一番重要なポイントにしぼって確認を行うことが大切だと感じました。在宅医療の現場では、非常に重要性が高いとも感じました。
我々が目指すべきところは「患者や他の医療スタッフからむちゃくちゃ必要とされる薬剤師の誕生」!!
高村先生の考えは本当に明解です。着眼点も伝え方も激しく同意。
なんにしても、フィジカルアセスメントという言葉だけが一人歩きしている現状ではダメで、多くの薬剤師が経験し、それぞれの薬剤師がひとつでも成長して欲しいと思う今日この頃です。
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最後にフィジカルアセスメント研修会の終了証書授与。
この証書に恥じないよう、意識を高く持って、ますます薬剤師技術の向上に努めたいと思います。
「私たちも応援してま〜す」
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この他にも褥瘡スケールモデルや薬剤選択の一覧表などもあり、まさに卒業生は地域を支える準備を終えて卒業してくるんだな〜 とちょっとうらやましいくらいの印象です。
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大雨の中、都城へと帰路につく私を延岡の神楽が見送ってくれました。