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Vol.16

現在新型コロナウイルスの影響で、外出自粛やテレワーク、マスクの着用など生活の変化、ストレスを感じる方が多いといわれています。また、コロナウイルスそのものへの不安もストレスになります。


ストレスとは

ストレスは、もとは物理学で使用されていた言葉で、物体の外側からかけられた圧力によって、歪みが生じた状態を言います。風船でたとえてみると、風船を指で押さえる力をストレッサーと言い、ストレッサーによって風船が歪んだ状態をストレス反応と言います。医学や心理学の領域では、こころや体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応をストレス反応と言います。

私たちのこころや体に影響を及ぼすストレッサーには、

  • 「物理的ストレッサー」(暑さや寒さ、騒音や混雑など)
  • 「化学的ストレッサー」(公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など)
  • 「心理・社会的ストレッサー」(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)

があります。

ただ、「ストレス」というと悪いイメージが先行しがちですが、ストレスには良いストレスと悪いストレスがあります。

  • 良いストレス:何かを達成させる原動力になったり、何かを頑張るための適度な刺激となり、自己成長へ繋げられます。
  • 悪いストレス:嫌だと思うことを続け、自分がどんどん追い詰められて苦しくなってしまい、結果体調を崩したり、心が落ち込んでしまい心身に悪影響を及ぼします。

ストレスの原因

  • 人間関係

職場やプライベートな場でも、人間関係によるストレスは大きなダメージを与えます。職場で感じるストレスの原因の第一位に、人間関係が挙げられているほどです。

  • 仕事の量や質

仕事が多い、仕事時間が長く休日が少ないなど量によって生じるストレスがあります。また、やりがいが感じられない、ノルマや責任が重い、技術的に難しいなど、仕事の質によってもストレスを感じます。仕事が忙し過ぎたり、合わなかったりするとストレスが生じますが、逆に暇すぎてもストレスが生じることもあります。

  • 睡眠不足

睡眠によって心身を休めることで、ストレスを癒すことができます。しかし、何かのきっかけで睡眠不足が続くと、それ自体が大きなストレスになり、今度は不眠を引き起こすという悪循環に陥ることがあります。

  • ストレスをためやすい性格

競争心が強く、攻撃的でせっかちな人、真面目で何事も完璧にこなさないと気が済まない人はストレスが溜まりやすいといえます。また、緊張や不安、不快な感情などをストレートに表現できず、自分の感情を抑えたまま、過剰に適応しようとする人もストレスを溜め込みやすいタイプです。

  • 現代人に多いストレス

パソコンやスマートフォンのない生活に不安を感じたり、人間同士のあいまいさに我慢がならなくなり人づきあいに支障をきたすといったインターネット依存症というストレスもあります。
逆にパソコンが苦手でなじめず、現代社会に適応できない不安とか焦りや、同じ姿勢で長時間にわたりモニターを凝視、操作し続けることなどから起こることもあります。

また、意外かもしれませんが、結婚や妊娠、昇進など喜ばしいライフイベントもストレスになります。ストレスになる原因は「変化」と言われています。嫌なこと,辛いこと,苦しいことはもちろん,一般に良いこと,おめでたいこととされている変化もストレスの一種なのです。

ストレスの適応反応(ストレス応答)

私たちの体はストレッサーを受けた時に何らかの症状がシグナルとして現れます。それをストレスに対する適応反応(ストレス応答)と呼びます。

SGS総合栄養学院ブログ(応用)ストレス応答より引用
(1)警告反応期

ストレス刺激に曝されたときの初期反応です。

さらに警告反応期は、ショック相と反ショック相とに分けられます。

 a.ショック相
・血圧、体温、血糖値などが低下する
・神経系の活動が低下する

 b.反ショック相(ショック相から立ち直る)
・血圧、体温、血糖値などが回復する
・神経系の活動が高まる

(2)抵抗期

ストレス刺激に対して、生体が適応力を獲得した時期です。
この時期は、直接原因となるストレス因子に対する抵抗性は確保されていますが、新たなストレス因子に対しての抵抗性は低下しています。

(3)疲憊期(疲はい期)

長期間、ストレスが持続すると、生体の防御機構の限界を超えてしまいます。再び、警告反応期のショック相に類似した生体反応がみられます。

ストレスに曝された後、一定の間は、“がんばろう!”とするのですが、限界を超えると“お手上げ…”となるということです。この状態では、からだの機能障害が起こり、病気などを発症することもあります。ストレスと上手く付き合うために、疲憊期に移行する前にストレス因子を対処することが大切です。

ストレスへの対処法

自分に合った、「リラックス&リフレッシュ」を見つけよう!
  • リラックスは、体を休めること・・・主に休養、入浴、音楽鑑賞など静的なもの
  • リフレッシュは、気分転換をすること・・・スポーツ、飲み会、カラオケなど動的なもの

リラックスとリフレッシュをバランス良く行って、ストレスをケアしていきましょう。

1.休養
がむしゃらに働き続けていたら、スタミナ切れをしてしまいます。「疲れたな」と感じたら、適度な休養をとることが必要です。適度な休養は次への活力を生むことができるのです。たまには何も考えずにボーっとする時間を持つことも大切です。

2.入浴
入浴は、身体を清潔にし、血行促進、新陳代謝を促し、筋肉痛を和らげ、神経をリラックスさせることができる、「心の疲労回復剤」です。特に、就寝前に38~40度のぬるめの湯にゆっくりつかることがストレス回復のためにより効果がみられます。

3.スポーツ
身体を動かすことにより、全身の血液の循環が良くなるため、脳内においては老廃物を洗い流し、頭をすっきりさせるという効果を生みます。空いた時間を有効に活用した散歩やサイクリングなどの適度な運動は心身ともに健康でいられるために不可欠なのです。

4.食事
心身の健康を維持するためには、栄養のバランスがとれた規則正しい食生活が欠かせません。特に気をつけたいのが、ビタミンやミネラルの不足と、甘いものや嗜好品の取りすぎなどで、ストレス耐性を弱めてしまうことです。さらに最近では孤食率の増加が見られ、早食いや過食などの食生活の乱れが起きる要因になっています。バランスはもちろん、食べ方にも気を配りたいものですね。

5.音楽
音楽には、心を落ち着かせリラックスさせる効果があります。人によって心地よい音楽は異なりますが、好きな音楽を聞くと不思議と気分がよくなっていくものです。また、カラオケなどで大きな声で歌うこともストレスの発散に大いに役立ちます。


ただ、現在様々なストレッサーが存在し、ストレスを無くすことは不可能に近い生活を送っています。ストレスをプラスに変え「良いストレス」として受け止められる健康な心を持つための方法、つまり「ストレス耐性を強める」ための対策を簡単に紹介しましょう。

「健康な心」を持つために ー心理面ー

1.完璧主義を捨てよう!
何事もきちんとやることは大切ですが、人間誰しも、すべてを完璧にできるわけではないのです。少し肩の力を抜いて取り組み、心にゆとりを持つことが大切です。

2.過去にこだわらず、前向きに考えよう!
物事を悲観的に考えることはストレスをマイナスに変える要因です。過去には決して戻ることは出来ないので、こだわりを捨て前向きにプラスの方向へ考える習慣を身につけましょう。

3.思考を柔軟にしよう!
自分が掲げた目標と現実のギャップはストレスを生みやすいものです。目標を少し下げ、達成感を味わうことが次のステップにつながることもあります。考え方を柔軟にし、別の手段を考えることも必要です。

4.一人で抱え込むのはやめよう!
悩んだ時には、一人で抱え込まず家族や友人、同僚や上司などに相談することも大切です。物事の受け止め方は人により異なるので考えつかなかった解決法を生むこともあります。
仕事でも何でも一人で抱え込むことで、ストレスにつながっていきます。人に任せられることは任せてみましょう。

「健康な心」を持つために ー身体面ー

1.時間のコントロール
忙しい一日の中で、少しの間だけでも趣味に時間を費やしたり、音楽を楽しんだりするなど、自分自身のリラックス&リフレッシュのための時間をもつようにしましょう。なかなか思い通りには行きませんが、目標のタイムスケジュールを立てることから始めましょう。

2.十分な睡眠をとる
睡眠の乱れは生体のリズムを崩し、ストレスに弱い体になってしまいます。また、眠れないということ自体がストレスの一つにもなります。
十分な睡眠は、時間もさることながら、より質を高めること、つまり眠りの深さが問題となります。深い睡眠を得るためにも、毎日同じ時刻に寝るようにしたり寝室・寝具の環境を整えりすること、また昼間に適度に運動するなどの工夫も必要です。


今は睡眠不足が体への悪影響となるため、睡眠薬を飲んで睡眠をとった方が体のために良い場合もあると認知されています。どうしても眠れない場合は、かかりつけの病院で相談してみましょう。

3.アルコールに頼りすぎない
よく眠れないからと言ってお酒を飲むことがありますが、お酒による睡眠は短時間で目が覚めたり、睡眠の質を下げると言われています。また寝酒は耐性が付きやすく、量がふえがちです。適量を超える飲酒は、やめたくてもやめられない「依存症」への引き金となりうるので注意しましょう。適量でとどめるよう心がけましょう。


様々な対処を心がけても、ストレスにより体調が悪くなることは誰にでもあります。
そういう時は我慢しすぎずに、専門医を受診したり、公的な機関に相談することも考えてみましょう。